コンタクトレンズのこんな活用法

母親はいちばん近しい家族である夫の理解も協力も得られず、孤軍奮闘することになる。 Sさん(三五歳)は、それに「ノー」と言い、夫を引っぱり込んだひとりだ。
「動物学や自然保護に興味があって、もう一度大学に入って勉強し直したいと思ってたの。 そうしたら、子どもができちゃって、予定変更に。
夫は独身のころからめざしていたことがやれるのに、自分だけがチャンスの芽をつまれて、それがたまらなかった」Sさんの夫のHさん(三四歳)は、ロッキー山脈に生息する野生のカモシカ、マウンテンコートに魅せられて、写真を撮り続けていた。 結婚後サラリーマンにはなったが、写真集を出すという夢の実現に向かって着々と近づいていたのだ。
そのうえ、娘のMちゃんはアトピーだった。 八ヵ月ごろ、チーズやミルクを与え始めると、湿疹が出始め、やがて汁が出るほどに。
たまたま、同じ産院で出産した友だちの子どもが重症のアトピーで、その友だちから病院を紹介され、除去食、回転食を始めることになる。 Mちゃんが一歳のときだ。

「母乳の出がよくて、ずっと母乳で育ててたのね。 だから、最初のうちは私も三大アレルゲンと肉をやめて、タンパク質は魚だけ。
調味料や味噌もノン大豆のものに変えたの」。 しかも、穀物もタンパク質も毎食替えて、同じ食材は何日かずつ間隔をおかなければならない。
かなり、しんどいけど、ぜんそくになってはイヤだから、考え込む余裕はなかった。 「野菜はゆでて、ノン大豆醤油を少したらしたり、塩を添えるだけ。
麺類は、だしとノン大豆醤油などで薄味をつけるだけ。 みんな同じ調味料で同じものを食べてたし、素材の味で食べてたから、手間はかからなかったし、おいしかった」野菜が大好きだったMちゃんは、それだけでも本当によく食べた。
「一、二歳のころのMちゃんの口癖が『しお、しお』だったの。 塩味はごちそうと思っているのか、塩をなめさせると、喜んでいましたよ」とはいうものの、おっぱいをやっていたKさんは、Mちゃんと同じものしか食べられない。
夫は外で好きなものが食べられるのに……。 ストレスがたまった。
「だから、ときどきビール飲んじゃうとか、ケーキ食べちゃうとかして。 もっとも、ケーキはMちゃんに出ちゃうし、ビールはおっぱいが張って、痛くて、痛くて」Kさんは、母子一体の生活が耐えられなかった。


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